病気のヤッコがお客様の水槽から帰ってきました・・・
重症です・・・
サザナミヤッコでしょうか・・・
1ヵ月が経ちました・・・
私はあまり海水魚の病気の事は詳しくありません・・・(淡水魚も同じですが・・・)
それでもプロとしてお客様には病気の魚を見せる事もその場で水の色を変え治療する事も致しません・・・
この魚は背中の後ろの方に白い腫瘍みたいなものが両側に膨れ上がっていました・・・
更には全身白点病・・・
少々痩せて元気もありません・・・
私なりの治療が始まりました・・・
私の治療は・・・まず隔離(かくり)・・・
ビジネスとして行う我々としては他の魚達に病気をうつしたり、在庫水槽に病原体をばらまくことはできません・・・
30㎝ほどの小さな水槽に移しました・・・
業界の本には対処方法が色々と書かれています・・・
詳しい人達も色々な治療法や治療薬を提案します・・・
しかし私の場合魚を良く見て治療方法をその場その場で考えます・・・
(本人と相談して・・・)
根本的に薬で治ったためしがありません・・・
まず一番大切なことは本人の(魚ですが・・・)体力を付けること・・・餌は毎日食べられるだけ何回も与えます・・・
そして・・・周りを清潔に保つこと・・・
食べ残しやフンは必ず総て取り除きます・・・
毎日100%全換水・・・(1日に2回する事もあります)
変える海水は隣のタツノオトシゴが入る1,000×1,000×H500の在庫水槽の水です・・・
小さな水槽の水を抜いた時は都度水槽の内側もタオルで綺麗に拭き取ります・・・
ワンタッチフィルターのウールマットもこまめに交換・・・
そして手術・・・
魚を水から取り出し海水の湿ったタオルにくるみます・・・
目を優しくおおい更にその上から海水をかけます・・・
この時、魚は大変不安なので話しかけてあげると落ちつきます・・・
手際良くピンセットとハサミで腫瘍を切除・・・
傷口を消毒して水槽に返します・・・
淡水浴も考えましたが、今回は腫瘍がかなり膨らんでいたのでこの方法にしてみました・・・
更には小さな水槽に薬液を入れて水槽に返します・・・
1時間位経った頃に薬の入っている水を総て綺麗な海水に取り替えます・・・
ずっと薬漬けにはしません・・・そのかわり薬は少し多めに入れました・・・
水温は低めに設定・・・まずは水槽内を清潔に保つことを優先します・・・
魚には餌をあげ続けます・・・
水は変え続けます・・・
エビやヤドカリはお掃除役として入れています・・・
そして3週間・・・大分体力が戻り白点は総て消えました・・・
腫瘍も徐々に小さくなってきています・・・
今度は水温を高めにします・・・
魚の体力を見分け毎日調整することが大切です・・・
私の治療法はとても乱暴です・・・
時には冷たい水の中に水合わせをしないで入れる事もあります・・・
魚の体力と病原体の体力・・・どちらが強いかを判断するものです・・・
良く病気の事で質問を受けますが・・・目の前にいない魚の治療は本当に難しいものです・・・
でも病気にかかりにくくする方法は水を清潔に保つこと・・・それは濾過槽内を清潔にすることから始まります・・・
濾過槽が汚いのは当たり前ではありません・・・
レイアウトしているライブロックなども常に海水を拭きつけるなどして綺麗に保ちましょう・・・
扱う網、バケツ、ホースポンプなど総て使い終わった後に水で綺麗に濯いでおきましょう・・・
毎日たっぷりの餌をもらっている為このヤッコは大分太ってきました・・・
更にはすぐ餌をねだります・・・
このサザナミヤッコが治りましたらまたお知らせしますね・・・
そして・・・悲しいお知らせです・・・
お掃除役で入れていたエビが死にました・・・
薬にはエビやサンゴも大丈夫と書かれています・・・
1時間とは言え少々多めに入れたためかも知れません・・・
また違うエビが入りました・・・
今日の一枚・・・
魚の病気治療は本当に難しいことです・・・
魚を良く見ることが大切ですね・・・
そして自分なりの方法をその都度工夫すること・・・
殆どの場合目に見える病気は治らないことが多いですね・・・
たとえ駄目でも愛情込めて治療をしたのであればそれで良いことと思います・・・
今日の夜は小平中央公民館の夜間講座私の最終回・・・
気合を入れて楽しみましょう・・・