テラリウムファン必見!
≪永久保存版≫
今まで数々のフレグランス(東城流テラリウム)水槽
を手掛けてきましたが・・・
かつてこれほど力を入れた作品はありません・・・
制作費用も100万円を超えました・・・
そして希望小売価格は1年間のメンテナンス付きで
¥12,000,000-
※制作と管理がとても大変なのでこの価格になりました・・・
この作品は今から凡そ7年前(2006年)の秋に制作し発表したものです・・・
2005年の業界主催で東京の六本木ヒルズで開催された
「東京アクアリオ2005」のテラリウム部門で優勝をしその翌年に手掛けた作品です・・・
この年からテラリウム部門が廃止され、この作品は特別賞的にテレビ朝日賞を頂いたものの・・・
残念ながら優勝はできませんでした・・・
その後多くの作品を創りながら私の中ではどんどんその手法が変化していきました・・・
現在ではこの様な土台から手の込んだものは余り作っていません・・・
そして時が経つにつれて、いつしか私の中では伝説のアクアリウムと言う思い出になりました・・・
その当時のブログやホームページ内でも取り上げましたが、改めて又皆様に制作工程を1から全部お見せしたいと思いました・・・
【水槽】
アクリルW900㎜×D500㎜×H(F500㎜・B900㎜)板厚20〰25㎜
OF(オーバーフロー)
【架台】
H900㎜鉄製特別オーダーアングル
このアングルには最終的に誰も見たことが無いすごい仕掛けが付けられます・・・
この水槽には至る所に隠れ技が秘められています・・・
どのような仕組みなのか写真の形状から皆さんで推理してみて下さい・・・
解るかな・・・
この水槽で一番こだわっている事は・・・
コード類を一切見えなくする事でした・・・
【霧発生装置(ミスト)】
オーバーフローの管から霧発生装置のコードを3本出します・・・
ポンプ等が入る為、最終的にこのフロー管からは八本のコードが入ります・・・
通常霧発生装置は1台で十分ですが・・・
この作品には霧発生装置が3台必要でした・・・
【青の洞窟】
何だ,これは?!・・・
What is this ?!・・・
これは直径80㎜φの透明なアクリルを斜めにカットしてあります・・・
後ろにはブロック状の黒い発泡スチロールを土台として水中ボンドで貼り付けます・・・
水槽の下からブルーのLEDライトで照らします・・・
最終的に見えるのは斜めにカットした上の表面だけになります・・・
これは後に「青の洞窟」として幻想的に演出致します・・・
発泡スチロールの中もパイプが入ります・・・
【水の試し入れ】
水を試し入れします・・・
水槽の底にはディスプレーのイメージを画きます・・・
※注意!:この様にアクリルの厚みがある水槽はその底にマジック等で印を付けると水の屈折に寄り正面から目立ちます・・・(後で消しました・・・)
オーバーフロー管の位置を調節して水面が手前の斜めにカットしてある
淵までギリギリになる様にします・・・
何度も水を入れたり抜いたりの繰り返しです・・・
水の流れのテストはポンプの大きさのテストも兼ねます・・・
【土台作り】
発泡スチロールはとても浮力がある為水中ボンドを多めに使用します・・・
乾くまでは重しをのせて約半日程度かかります・・・
一度乾けば水を入れても浮くことはありません・・・
発泡スチロールの表面に熱を当てて溶岩石風に仕上げます・・・
※ハンダコテを使います・・・
青の洞窟・・・
うまくいくでしょうか・・・
土台に使用する発泡スチロールの配置を見ながら高さなどの配分を確認し、ハンダコテで焼きながら接着していきます・・・
接着作業は水分を完全に乾かしてから行わないと付きにくいので時間がかかります・・・
裏からの画像は余りありませんから、これは貴重な画像ですね・・・
TOJOの作品の殆どは家内でもあるチーフデザイナーと一緒に創りあげてきました・・・
時にはお互いに別の作品も作りながら良い方向を見出だしてきたのです・・・
青の洞窟になる部分はリアリティーが大切です・・・
見ての通りアクリルの殆どが発泡スチロールに隠れました・・・
オーバーフロー水槽なので下からの水の動きもありますがこの作品には更にパワーを必要とする為かなりハイパワーなポンプを4台入れました・・・
それぞれの役割は下から砂を吹き上げる湧水効果を目的とするもの・・・
ハイパワーのポンプは勢いがありすぎるため湧水効果の先を上に向け水面が盛り上がる様な水の流れを生み出します・・・
【ドリル作業】
湧水を演出する為ドリルで穴を開けます・・・
水景を思い描きながら3ヶ所に穴を開けます・・・
今回は5㎜の穴を開けてみます・・・
穴の大きさは3㎜から8㎜程度が妥当と思います・・・
勿論穴の大きさとポンプのパワーと底砂の質で湧水の見え方が違ってきます・・・
ドリルの取り扱いは慎重に行います・・・
次は上の部分の配管にも穴を幾つか開けていきます・・・
後から作る苔の景色や水の流れ・・・
そして「音」の質も大変重要です・・・
【水入れ】
何度も水を入れ直して動きを確認します・・・
オーバーフローなので水の量もかなり多く入ります・・・
右上に見える小さな入れ物には霧発生装置が3ヶ入ります・・・
シャワーで水を入れる時は水の流れのイメージも考えます・・・
【ミスト】
※ミスト:(霧発生装置)
良く「ドライアイスを入れている」と勘違いされる方が多いのですが・・・
実はこれ、水を超音波で電子分解して作る人口の霧なのです・・・
この装置も色々なメーカーから同じような形のものが販売されていますが・・・
どれも同じではありません・・・
霧の粒の大きさが違うだけで演出効果として使いやすいものと使いにくいものに分かれます・・・
霧の役目は見た目に朝もやであったり、雲海のごとく雲に見えたり・・・
霧自体が重く、水に沿って流れる霧はとても心地よく風景に似合います・・・
霧が軽すぎて舞い上がってしまうものは煙にしか見えないのでNGです・・・
そしてミストは苔等の成長にも欠かせません・・・
更に更に・・・
水を分解することで当然マイナスイオンも沢山発生し森林浴効果もある訳です・・・
つまりNK細胞が活性化され人間が持つ自然治癒力を高める訳ですね・・・当然ガンの抑制にも良い訳です・・・
しかしとても残念な事に私の一番気にいっていた霧発生装置を取り扱う会社が昨年無くなってしまいました・・・
まだ在庫がいくつかありますが今後又新たな良いものを見つけなければなりません・・・
誰か良い物を知りませんか・・・
わわわわわーっ・・・
今度は水芸でしょうか?・・・
水のテストは何度も繰り返されますが、気を付けないとずぶ濡れになります・・・
これは発泡スチロール専用のカッターです・・・
ワイヤーの部分に熱を持ち軽く切ることができます・・・
大きな発泡スチロールはこのカッターであらかじめ形を作ります・・・
※発泡スチロールで使えるのは黒いものです・・・
時折レンガ色などありますが、中が白い物がほとんどで使えません・・・
見ての通り当初の配置とだんだん変ってきました・・・
レイアウトは作りながらその作品自体が配置を指導し打てくれます・・・
その都度配置を変えていきます・・・
したがって水景は自分のイメージをむりやり創りあげるのではなく、どのように成っていくかを毎回学びます・・・
大きな流木が入ると迫力が増しますね・・・
至る所の水受けはイメージを見る為配置しています・・・
だんだん形が見えてくるのが楽しいですね・・・
良かれとして配置した霧発生装置のミニ水槽も少々大きすぎるので却下となりそうです・・・
霧発生装置には常に水が供給されなければなりません・・・
そして霧発生装置は水の深さで霧の出方が変わる為気を使います・・・
苔を使う場所には必ず霧も必要になります・・・
ここにも常に水が流れ落ちます・・・
青の洞窟もほぼできあがりました・・・
良く見ると下中央に湧水に寄る盛り上がりを確認できます・・・
途方もなく続く作業の途中で良く質問される内容は・・・
今の段階で何パーセントぐらいのできあがりですか?・・・
この質問の答えを伝えるとたいていの方が驚かれます・・・
そうですね・・・
約20%位でしょうか・・・
エーッ、まだ20%・・・
テラリウムを作る場合土台は一番大切な作業です・・・
しかし土台が出来てからの作業は更に神経を使います・・・
水の動きのテストや霧のテストは何度も何度も繰り返されます・・・
レイアウトは一度で完成させません・・・
勿論一回で満足できる作品ができる事もありますが・・・
やはりそんな簡単ではありません・・・
人に魅せることができる作品は自分でも満足できるものでなければなりません・・・
【植物のディスプレー】
何度も何度も作っては水を入れ又抜き・・・
その繰り返しでレイアウトが決まってきます・・・
水中部分に土台として使う流木と・・・
水上に苔を絡める流木とでは役割が違います・・・
土台も大分できあがって、今度は生の植物を配置しています・・・
右上にはガジュマルが配置されました・・・
生の植物を扱う限りその根には常に霧や水がかかる様に工夫します・・・
まだまだゴチャゴチャですね・・・
もうひと頑張りです・・・
このフレグランス(東城久幸流テラリウム)水槽は水中部分が500㎜あります・・・
つまり通常の450㎜水槽より水中部分だけでも大迫力となります・・・
ウイローモス等の苔類を付けていきます・・・
この時も総ての苔に水分や霧がいきわたる様に工夫をします・・・
場所によってはチューブから水を供給するようにしています・・・
ガジュマルの根元の左を水と一緒に霧が流れ落ちます・・・
毎日続きが楽しみにしています・・・と言う方が増えています・・・
そのような言葉が私にはとても励みになりますね・・・
言葉で伝えてくれなくてもこの情報を見る方がとても多い事は数字で直ぐに解ります・・・
後50%位でしょうか・・・
もう少しお付き合いください・・・
大分景色ができあがってきましたね・・・
この様に斜めの角度から見える景色は奥行きを感じリアルですね・・・
【ライトシステム】
この水槽にはいくつものこだわりや初めて試みる内容のものが山ほどあります・・・
まずは上に付いた4つのライトを見て下さい・・・
何か気が付いたことはありませんか?・・・
そうです・・・ライトが斜め上を向いています・・・
なぜでしょう?・・・
上に付いたライトは27w×4・・・
右手前にCO2ボンベが見えますね・・・
バックライトも点灯しました・・・
≪下の写真は水槽の裏側を斜めから撮影したものです≫
今は総てLEDライトを使いますがこの時はスリムの蛍光管を使いました・・・
結局最終的にはこの2倍のライトを入れ込みました・・・
写真を良く見ていただくと解るのですが・・・
水槽の淵の下や横に、更にキャビネットの至る所にライトが付きます・・・
これは水景には影響しない水槽の淵を綺麗に演出する為のものです・・・
この水槽にはこの様にライトやポンプ・ひーたー・霧発生装置等の機器が沢山ある為電気コードはご覧の通りです・・・
完成するとこの全てのコードが見えなくなります・・・
勿論安全には一番気を付けます・・・
最終段階の調整は霧の出方・・・
水の流れ方・・・
左手前に丸めて立てかけてある物は水槽架台に取り付けるアクリルパネルに張るお洒落な色のシートです・・・
水草をピンセットで丁寧に植えていきます・・・
このての作業はいつも大抵深夜になってしまいます・・・
写真ではチーフデザイナーばかり写っていますが・・・
蔭では私も大活躍しています・・・(念の為・・・)
とりあえず完成しました・・・
東京アクアリオ2006 六本木ヒルズ
水槽自体総ての淵がブルーに輝き主張しています・・・
ライトはミラーに反射させて水槽内を照らします・・・
その光はミラーの角度を変える事に寄り照らしたいところを変えられます・・・
夕日のイメージを出しています・・・
トランスルーセント・グラスキャット
ネオンドワーフ・レインボー
ニューギニアレインボー
多くの魚達が泳ぎます・・・
水景の一部を写真に写すと・・・
大自然の風景のように見えますね・・・
【水景】
湧水を抜けた水が水面を揺らします・・・
イベントなので少々魚の数が多く入りました・・・
廻りの展示している水槽を見ても飛びぬけています・・・
夕日のイメージ・・・
青の洞窟が幻想的です・・・
反射板に向けてライトアップ・・・
ガジュマルの根本もリアルです・・・
写真では解りませんが水音もとても心地よく聞こえてきます・・・
鳥のさえずりも聞こえてきそうですね・・・
ひときわ目立っていました・・・
そんなところまでは余り見ないと思いますが・・・
納得のいくまで徹底的に微調整をします・・・
総て本物の植物を使っています・・・
ガジュマルの根元を水が流れていきます・・・
このガジュマルは7年経つ現在も我が家の庭で成長し続けています・・・
青の洞窟が幻想的です・・・
テラリウムは創る楽しみと見る楽しみに加え成長を見ていく楽しみがあります・・・
私は親友が屋久島に住んでいる為何度も行きますがその都度違う景色を目に焼き付けて帰ります・・・
更に日本の素敵な自然を見て回る事が自分の感性を高める事につながります・・・
テラリウムを見ていると自然そのものが見えてきます・・・
不思議な事に人生すら見えてきます・・・
テラリウムファンの方が本当に多いようですね・・・
勉強になったでしょうか?・・・
この作品は余りにこりすぎた作りなので一般の人にはお勧めできる物ではありませんが・・・
要所々のテクニックは是非ご参考にして下さい・・・